A.

確かに西洋医学における精神医学的な観点からは、脳の器質的または機能的な障害により、寛解《寛解(remission)とは、一般に、病気の症状が一時的あるいは継続的に軽減、または、ほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態をいう。

ほぼ「治癒」に近い状態であるが、精神神経疾患の中には慢性疾患の要素を持つものもあり、症状消失後も一定期間の予防的な内服や経過観察を行うことがあるため、治癒とは言わず「寛解」と呼ぶことが多い。》はするが「完治」はしないとされています。ただし、それはあくまで西洋医学における断片的な見解であり、症状だけを見ると慢性疾患や器質的原因による後遺症などによって「完治」または「治癒」という、発病前の正常な状態に完全に回復することは不可逆的であり、そう呼ぶことになりますが、全人的に観た時に、身体的側面・霊的側面・社会的側面において、その症状が本人にとって苦痛や不具合を伴っていないか。

あるいは「認知症」等により、日常生活動作能力(ADL)のレベル低下に伴い、自立した日常生活及び社会生活において、制限または援助や介護が必要な状態であるか。

その症状が「再発」あるいは「二次障害」を呈していないか。

または、その恐れがあると主観的・客観的に、明らかに認められる状態であり、予防的な内服や経過観察が必要であるか等、それぞれのケースによって捉え方が変わってきます。

そして何より重視すべき点は、患者本人がそれを「治癒」していると受け捉えているかどうかにあります。内科的な疾患とは異なり精神疾患の場合、医師の診察により症状の快復を得ていると診断された場合、且つ、本人が現状に真にストレスを感じてない状態であるということと、本人を取り巻く環境に不安因子がない場合において、それ自体が直接内科的な治療を必要とする状態になるとは考えにくく、直接生命の危機に及ぶ状態になるとは考えにくいことから、患者本人の主体性を尊重し、治療者はその援助を行うことを旨としています。

患者本人が「治癒」していると受け捉えていただくために、身体的側面・霊的側面・環境、社会的側面において全人的にサポートし、様々な視点から自立に向けた医療を行うというのが「ホリスティック医療」の考え方です。

全人的サポートに取り組むことによって、精神疾患に伴う苦痛を軽減・消失し、患者本人が病の深い意味に気づき「自己実現」を目指すことで、生活の質(QOL)の向上に繋がります。それによって高次な霊性の向上に向けて努力することができ、潜在意識の開花によって、疾病に罹る以前の状態より、更に幸福感に満ちた精神的な安寧を享受することが期待できます。

A.

霊性とは、非常にすぐれた性質や超人的な力能をもつ不思議な性質、天賦の聡明さといった意味の漢語であり、肉体に対する霊の意味でも用いられます。
また、英語: spirituality(スピリチュアリティ)、ラテン語: spiritualitas の訳語でもあり、スピリチュアリティとも訳され、宗教心のあり方を指します。ここでは、医学的な観点から「スピリチュアリティ」という捉え方で、一般的に知られている解釈をします。

霊性や精神世界やスピリチュアリズム(心霊主義)に関わる意味ではスピリチュアル(霊的)ともよばれます。
近年は宗教学以外でも心理学や、ターミナルケア(終末医療)などの医療ケアにおいて、人の幸せや生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)と関連して重要な概念とみなされています。

また、ニューエイジ霊術系の新宗教、癒やしやセラピー、コンサートやワールドカップ応援など強い神秘性や超越的な権威が認められる現象、アニメ、映画、ゲーム、教育などでも「スピリチュアリティ」という言葉が用いられています。

「スピリチュアリティ」(英語:spirituality)の語源は、呼吸や息、いのち、意識、霊感、風、香り、霊や魂を意味するラテン語のスピリトゥス(spiritus)に由来します。
現代英語のspiritは、精神、心、霊魂、聖霊、生気・活気などと訳されます(肉体との二元論的な意味合いを持つ。)

これに対して日本語の 「霊」は自然界を含めてあらゆる「霊」が含まれるアニミズム的なものであり、一神教における二元論的なスピリトゥスとは異なるとされています。
「スピリチュアリティ」は日本人にはなじみのない概念であり、日本語で明確に説明できないこともあり、日本では一般における認知度は、まだあまり高くはありません。
「スピリチュアリティ」を使うのは医師、心理学者、宗教家などの専門家で、一般的にはほとんど使っていないという分析もあります。「スピリチュアリティ」は、個人の内面における奥深く、しばしば宗教的な感情および信念と関連があるという認識が広く持たれています。

近年の欧米では、Spiritual but not religious(SBNR、宗教を信じないが、霊性は信じている)という人々も増加しています。必ずしも特定の宗教に根ざすものではありませんが、宗教とスピリチュアリティが深い関係で結ばれていることは否定できないと言えます。

また、新しい「スピリチュアリティ」が興隆していった1970年代には、医療過誤や医薬品問題が注目され、近代医療の限界を批判する声が民間で高まり、近代医療で迷信として否定されてきたユナニ医学やアーユルヴェーダや中国医学などの伝統医療法や代替医療、鍼灸・ヨーガ・指圧などの東洋的身体技法などが脚光を浴びていきました。
1970年代に米国で1980年代には日本でも、体・心・気・霊性の有機的統合や、自然治癒力による癒しを重視したホリスティック(全的)な健康観を提唱する「ホリスティック医学協会」が設立されました。

イギリスの宗教社会学者ジェームズ・アーサー・ベックフォード(James A. Beckford)は、宗教組織にとどまらず医療や教育などの分野にも浸透し発展しているこの「ホリスティックな世界観を持つ文化現象」を「新しいスピリチュアリティ」として考察しました。
日本で「スピリチュアリティ」という語が盛んに用いられるようになったのは1990年代以降、アメリカでは1980年代以降で、それ以前も霊性追求はありましたが、内からの自己解放という潮流の急速は普及が目に見える運動となって若者を中心に深い影響を及ぼすようになったのはこの頃であるとされています。

この潮流には、ニューサイエンス、癒やし、ホスピス、緩和ケア、またビジネスとしても、ヨーガ、気功、気づきのセミナー、意識変容セラピー、エコロジー、アルコール中毒患者の「アルコホリクス・アノニマス」のようなセルフヘルプ(メンタルヘルスにおける自助グループ)運動などが含まれるとしています。